移動式粉末設備

移動式粉末消火設備の価格相場は?メーカー別の主力製品を比較

移動式消火設備

駐車場などに移動式粉末消火設備を新設したり、古くなった移動式粉末消火設備の交換が必要になった時は、できるだけ安く済むようにしたいものです。移動式粉末消火設備の価格はメーカーや仕様によって異なりますが、比較検討が非常に難しいように思います。そこで今回は、移動式粉末消火設備の主なメーカー、その主力商品の特徴、販売元での価格の違いなどについて解説します。

ココがポイント

  1. 移動式粉末消火設備の新設や交換における価格相場をチェック
  2. 移動式粉末消火設備の主たるメーカーと主力製品の特徴をご紹介
  3. 通販における移動式粉末消火設備購入の注意点を確認しよう

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移動式粉末消火設備とは

移動式粉末消火設備とは、一体、どういうものか馴染みがない、初めて名称を聞く一般の方のために簡単に説明をしておきます。まず、一言で申し上げるなら、屋外の駐車場に設置されている赤い表示灯(ランプが点灯する部分)が付けられた縦長の箱です。何となく記憶にあるのではないでしょうか。その赤い箱には、20mにもおよぶ消火用のホースなどが格納されています。

仮に駐車場で車両火災などが発生した場合、そのホースを延長して火元にかけより、泡状の薬剤を放出して消火するものなのです。操作方法は扉の裏に表示されているので、万一の時は、誰にでも操作ができるようになっています。実際にボヤ程度の火災でも、慌てふためいてしまうこともあるでしょうが、結構、強力な消化能力を有していますので、落ち着いて行動して頂ければと思います。消化能力は一般的な大きさの消火器のおよそ10本分以上に相当し、薬剤で消火するため、油や電気が原因の消火に最適です。

移動式粉末消火設備のメリット

移動式粉末消火設備には、さまざまなメリットがあります。

  • 簡単な操作により一人でも消火剤を放射可能
  • 省スペース設計のため不必要に場所を取らない
  • 配管工事などが不要で据付け、交換、移設も容易
  • 高い電気絶縁性で高電圧設備に設置できる
  • 消火薬剤は気温に左右されないため寒冷地で使用可能
  • 消火薬剤は取替不要で使用後の清掃や再生も比較的簡単

小さな消火器や水による消火では対応しきれない可能性がある、駐車場、整備工場、発電機のある施設、ボイラー室など特殊な場所に設置できる強みがあります。また薬剤による消火のため、水では消火できない油や電気による火災に対しても有効です。移動式粉末消火設備は点検が義務付けられています。6ヵ月に1回の機器点検のほかに、総合点検を1年に1回以上、「消防設備士第3類」もしくは「第1種消防設備点検資格者」を有する者の立会いのもとに実施することになっています。

移動式粉末消火設備の主なメーカー

移動式粉末消火設備の製造、販売、取り扱いについては、

  • ヤマトプロテック株式会社
  • 日本ドライケミカル株式会社
  • 株式会社初田製作所
  • モリタ宮田工業株式会社

などが知られています。製品については以下のラインナップがあります。

各メーカーの主な製品ラインナップ

社名 製品 概要
ヤマトプロテック YDA-75CG 耐塩仕様は2万円UP
YDA-75CG SUSポリッシュ
YDA-75CG SUS赤塗装
YDA-75CG-K 危険物用
YDA-75CGH
YDA-75CGH-K 危険物用
YDA-75CG B-1ボックス付 消火器収納箱付き
日本ドライケミカル PAN‐100EMX
PAN‐100EMX(II) 危険物仕様
初田製作所 MSCP-75B 【特殊品】
ステンレスBOX(赤色塗装)、危険物対応
【特殊品(受注生産品)】
ステンレスBOX赤塗装(危険物対応)、指定色、耐塩塗装
MSCP-75B-K 消火器格納部付(受注生産品)
MSCP-75A 【特殊品(受注生産品)】
危険物対応、ステンレスBOX、ステンレスBOX(危険物対応)、耐塩塗装
HDA-100A 【特殊品】

ステンレスBOX、危険物対応

【特殊品(受注生産品)】

ステンレスBOX赤塗装(危険物対応)、指定色、耐塩塗装

モリタ宮田工業 SHA33
SHA33K 危険物対応
SHA33SUS 格納箱SUS仕様
SHA33T 格納箱耐塩仕様
SHA33G 受注生産品
SHA33SB ソーラーバッテリー付き
SHA45C2 受注生産品
SHA45C2K 危険物対応

代表的な製品の主な仕様と価格

各メーカーの代表的な製品の主な仕様と価格をまとめました。
価格は全て標準価格で税込み表示にしています。

項目 ヤマトプロテック NDC 初田製作所 モリタ宮田
製品 YDA-75CG PAN‐100EMX MSCP-75B SHA33
価格 385,000円 385,000円 418,000円 418,000円
型式番号 C-493号 C‐496号 C-494号 C‐491号
放射時間 約64秒 約65秒 約65秒 約64秒
放射距離 8~10m 8~10m 8~10m 6~10m
総質量 約75kg 約84kg 約84kg 約80kg
外形寸法 H:1,135mm

W:290mm

D:350mm

H:1,100mm

W:280mm

D:350mm

H:1,100mm

W:280mm

D:350mm

H:1,120mm

W:270mm

D:360mm

*薬剤質量は共通:ABC粉末33kg

移動式粉末消火設備の設置基準

消防法施行令第13条の「水噴霧消火設備等を設置すべき防火対象物」より、粉末消火設備(移動式含む)の設置基準は、以下のとおりです。

設置基準の適用場所(一般対象物) 床面積
飛行機又は回転翼航空機の格納庫
屋上部分で、回転翼航空機又は垂直離着陸航空機の発着の用に供される部分
道路(総務省令で定めるもの)の用に供される部分 屋上 600㎡以上
その他 400㎡以上
自動車の修理又は整備の用に供される部分 地階、2階以上 200㎡以上
1階 500㎡以上
駐車の用に供される部分 地階、2階以上 200㎡以上
1階 500㎡以上
屋上 300㎡以上
機械式の乗降による駐車場 10台以上
発電機、変圧器その他これらに類する電気設備が設置されている部分 200㎡以上
鍛造場、ボイラー室、乾燥室その他多量の火気を使用する部分 200㎡以上
通信機器室 500㎡以上

出典:消防法施行令第13条(水噴霧消火設備等を設置すべき防火対象物)

具体的に移動式粉末消火設備を設置できる対象物としては、

  • 駅・バスターミナル・エアポート・フェリーポート
  • 自動車整備設備
  • 各種製造設備
  • その他工場・作業所等
  • 平面又は立体駐車場(自走式)
  • 機械式駐車場
  • 屋上駐車場
  • 地下駐車場
  • その他自動車倉庫
  • 航空機・格納庫等
  • 一般危険物倉庫(石油・アルコール等)
  • 危険物倉庫(金属粉等)
  • 指定可燃物倉庫(可燃性液体類、その他の指定可燃物)
  • 船舶
  • 電気室
  • ボイラー室
  • 厨房
  • 駐車場
  • 実験室・薬品室
  • 石油精製化学プラント・化学工場
  • シーバース※

があります。

※水深の深い海上に設けられた係留用施設

参照:設置基準|HATSUTA

移動式粉末設備の通販での最安値は?

移動式粉末消火設備はメーカーの公式サイトや代理店への問い合わせなどで、見積もりや購入が可能ですが、ECショップ、例えば楽天市場などの総合通販サイトでも購入可能です。また価格ドットコムなどでは最安値が表示されていますが、あくまでも製品単体での価格であり、複数購入によるボリュームディスカウントや出張・工事費込みの価格ではありません。

例:モリタ宮田工業 第三種移動式粉末消火設備 SHA33
価格(税込) 67,650円

さらに通販で一番の懸念材料は配送と送料の負担、および配送トラブルの保証です。価格が安くても、発送元が遠方であれば破損などのリスクも高まります。梱包の仕様も不透明なケースもあり、いざ届いて開梱するとキズや凹みなどがあり工事に差し支えたという問題が起こる可能性は否定できません。総合通販ショップで購入する場合は、

  • 梱包方法
  • 配送手段
  • 送料
  • 製品にキズなどが発生したときの保証
  • 返品条件
  • 交換条件

など、詳細を確認し納得してから注文するようにしましょう。通販と代理店やメーカー直販は、ケースバイケースで使い分けると良いですが、もっともコスパに優れるのは専門店からの購入です。

消防設備点検ストアの特徴

消防設備点検ストアは全国に工事実績があり、業歴も長いことが特徴です。見積もりの依頼も電話やメールで都合の良い方法が選べますし、出張と工事費用込みの価格であることが多いです。割引率は平均で約33%~46%であり、もはや条件次第では半額に迫ります。出張と工事費用込みの割引率としては、かなりメリットがあるのではないでしょうか。

メーカーの完成後保証もあり、他社の見積もりを提示することで更にディスカウントが可能なケースもあります。完工後は、所轄消防署への着工届・設置届の提出もサポートまで行ってくれる専門店はおすすめです。

移動式粉末消火設備設置費用の事例

消防設備点検ストアで購入した際のプライスダウンの事例を、いくつか紹介します。

事例1.マンション管理組合

悩み:管理会社から提出された見積もりが思った以上に高く、なんとか安くしたい。
結果:300,000円/個→239,000円でトータル20.4%のプライスダウン

事例2.マンション管理会社

悩み:移動式粉末の設置が必要となるマンションが出てきたが、発注先の見直しを実施したい。
結果:290,000円/個→239,000円でトータル17.6%のプライスダウン

事例3.建設会社

悩み:新規で移動式粉末を設置する必要があるが、既存で取引先がないため新たにコストパフォーマンスの良い発注先を探している。
結果:新規設置の単価239,000円で業界低水準

事例4.マンション・ビルオーナー

悩み:所有物件の収益性が悪化してきており、コスト削減観点で発注先の見直しを実施したい。
結果:180,000円/個→119,000円でトータル33.9%のプライスダウン

なんとか安くしたい、発注先の見直しをしたい、既存の取引先がなく発注先を探している、物件の収益構造悪化でコスト削減のための発注先見直しなどがきっかけで、大幅なプライスダウンを得ている事例が増えています。

点検費用もチェック

移動式粉末消火設備は6ヵ月に1回の機器点検と、1年に1回以上の総合点検が義務付けされています。

点検には、「消防設備士第3類」もしくは「第1種消防設備点検資格者」を有する者の立会いが必要のため、外部に依頼することもあると思います。移動式粉末消火設備本体の価格ばかり注目しがちですが、点検におけるランニングコストも要チェックです。

点検費用については、

  • 基本料金+点検対象の設備の単価×個数
  • 基本料金+点検対象の建物や施設の延べ面積に応じた料金

などの算出方法があります。スポット契約と通常法定点検でも費用に違いが出ます。また消防署への届け出に関する代行費用や各種手数料、交通費、消費税なども含まれる場合があるため、見積もりを取って最善策を練るようにしましょう。

まとめ

移動式粉末消火設備の価格相場を調べ、メーカー別の主力製品を比較してみました。総合通販サイトでは各メーカーの標準価格よりも安い値段が表示され、購入できるようになっていますが、工事費、送料などは含まれておらず、配送時の破損等のリスクもあります。返品や交換条件、梱包や配送手段など、細かいチェックが必要になるため、専門店での購入をおすすめしています。専門店ならではのボリュームディスカウントにより、工事費を含めたコストダウンを実現できるでしょう。移動式粉末消火設備の本体価格だけでなく、点検費用も忘れてはなりません。

スポット契約にするのか通常法定点検とするのか、点検に関する取引でもコストの差が発生します。ランニングコストも意識して、トータルで見積もりを取り、コストを把握するようにしましょう。

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  • この記事を書いた人

消防点検ストア編集部

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